最近の教室でのヒルネット。 中学生組は秋学期以後に始めたリベラルアーツの取り組みを継続中です。 最近、取り組んだ課題は、ナショナリズムについて。これまた難しい課題ですねー。
まずは、わたくしイマンモが簡単に概説を。 「ナショナリズムって何?」 「ワイらが日本人やったら日本人っちゅう意識を持つことかな?」 「そんなん当たり前ちゃうん?」 「いや、そうでもない。例えば江戸時代くらいの薩摩藩の農民は、『自分はどうやら日本と呼ばれる国の薩摩っちゅう場所に住んでて、そこにはお殿様がいて、遠くの江戸っちゅうところにはもっと偉いお殿様がいるらしい』ことは知ってても、自分がそういう政治共同体の一部やっちゅう意識はなかったし、まして『日本人であること』がアイデンティティーの一部になんてなってなかった。むしろ『今田村の文三』ぐらいの狭い範囲のものが自分を位置付ける大切なもんやったんや」 「別にワイらも日本人っちゅうことがそんなにアイデンティティになっとるかな?」 「じゃあ、別の言い方すると、例えば北海道が明日から急にロシアのもんになった言うたら、『おいロシア! われなにしとんねんっ‼︎」って気持ちなるやろ?」 「まあ、そらなるなあ」 「そういう意識が江戸時代の農民とかにはないねん。北海道で何が起こっても他人事なんやな」 ナショナリズムの概念は現在の政治社会学では、だいたい近代の産物であると言われています。そんな話をしながら、 「じゃあ、ナショナリズムって感情は悪いもんなん?」といった当然の質問も。 「いや、そうとは限らん。だって自分の国のことがどうでも良かったら、自分の国や社会をよくしようとも思わんやろ?」 「そら、そうやな」 「自分の国や社会をよくしようと思わへんのやったら、誰も政治家や官僚になろうとなんて思わへんし、逆に選挙にわざわざ行こうっちゅう気持ちも失せてしまう。だから、民主主義にとってナショナリズムはある意味必要不可欠のものやねん」
「じゃあ、やっぱりナショナリズムはあって良いもの?」 「さて、どうやろか。ほな、ナショナリズムをめぐる一つの物語を見ていこか」
ということで、前説おわり。ここからが本番です。
そして。
これはなんぞ。 そう。実はここから唐突にガンダムの話。
まあ相変わらずなんですが、「真面目な話」だけしていても、僕もつまらんし子どもだって退屈。 そして、何よりこの「漫画版ガンダムにおけるジオン公国の独立と戦争までの話」は、民族自決といったナショナリズムの勃興と、その熱狂の行き着く悲劇をよく描いていると思います。作者の安彦良和さんは、歴史を題材にした漫画もよく描かれてますもんね。
ジオンは辺境に位置するスペースコロニー。そう植民地の暗喩。 その植民地で独立運動が起こります。
独立運動は中央政府である地球連邦への反感と裏返しの感情。
これは20世紀の各植民地で民族自決を叫んだ闘争の光景と同じものです。もっと古くは大英帝国に対するアメリカ人の。あるいはフランス革命時の民衆の姿かも。 つまり、この段階での「ナショナリズムの熱狂」は、いわゆる国民国家を形成する上では欠かせぬものなのかもしれません。ところが。。。
それが、なぜかこんなふうになって。。。
こんなふうに戦争をおっぱじめて。。。。
ついには早期終戦のための作戦と称し同じコロニー(植民地)の人間を虐殺。。。
で、最後こんなこともする。ガンダムファンには有名なシーですね。。。
と、こんな「ジオン国家」の話を見ながら、改めて皆でナショナリズムについて話し合いました。 結局、ナショナリズムは良いもの? 悪いもの?
「悪いか良いかってもんやないと思う」「それ自体は良いもの。でもそれを利用する奴は悪い」「利用っちゅうか、それを煽る奴やな」「熱狂に陥って周りが見えんようになるのは怖い」「何にしろ、ナショナリズムに基づいて他の国を敵視するのはやばいな」「それを煽る政治家とかもな」 色々な話が出ました。もちろん結論は出ません(当たり前)。
が、「大人」になる前に、こういう話を聞き考え議論するのは、「ふつうの勉強」をする以上に大切なことだと思うんですよね。手前味噌ながら。 (まあ、その実、僕が折々に興味のあることをテーマにしておるだけなんですが)
さて、ではでは、その間、そんなちょっと「難しい」話にはさすがに入ってこれない(?)かもしれない我らがヒルネット小学生組は何をしておったか。 実は、今週、そんな小学生組を中心に、化学実験のワークショップを行いました!
中心になって一緒に奮闘してくれたのは、「はらっぱらっぱ(あだ名)」こと原弘樹先生!
この日のために色々考え、入念に準備してくれました。ありがとう、はらっぱらっぱ!(あだ名の方が本名より長い)
行った実験は「つかめる水」。 なんぞ、それ? 実はこれ、アルギン酸ナトリウムと乳酸カルシウムを使った実験。 二つを溶かした溶液を交わらせること起こる化学反応を用いて、水を固形化するというものなんです。 何かしら物を触って工作したりするのは大好きな子どもたち。 わっきゃわっきゃ言いながら実験に取りかかります。
ということで、以下は写真中心で。
右端のペットボトルを振る少年の姿がわかるでしょうか。実は実験以前、ペットボトルを降って物質を水に溶かす溶液を作る作業がけっこう大変。
こんなふうにとろーりと固まっていきます。 あらかた慣れてきたら、溶液に絵の具をとかし、水に色をつけたりもします。
赤く色をつけて小さい塊を作ると、何だかイクラみたいに見えます。 「これで偽イクラ丼を作って、イマンモを『毒殺』するの!」などと、いと恐ろしき発言をする少女の姿も。。。。
というか、これは一体。。。。
などなど、色々わっきゃわっきゃとやっとりましたが、もちろん「実験」は成功! 「おみやげ」を持ち帰る子も。
いや、教室が汚れないようにとブルーシート張ったり後片付けに時間かかったりと、いろいろ大変ではありましたが、かなり楽しかった! はらっぱらっぱ分隊長さえ良ければ、またやってみたいですね。いや、できればシリーズ化したい。。。 ということで、以上、最近のヒルネット教室活動でした。 次はヒルネットお出かけ活動編に続く。
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